
鹿士憲司がプロデュースするマンションは、札幌市内で15棟を超えて購入と新築を重ねてきました。
多くが高い入居率を維持し、
その確かな実績が、次の再投資を後押ししています。
——この実績は偶然ではありません。
価値ある空間と、住みやすい価格。
その最適なバランスを見極め、
洗練された日常をかなえる住まいをつくる——。
本ページでは、設計と素材の選定、施工、検査、そして引渡しまで。
一棟の誕生するまでの過程を公開します。
文責:スタークリエイツ株式会社 梅沢 太一

A.土地の選定
新築マンションの建設は、「土地選定」という最初の一手で決まると言っても過言ではありません。
ここでは、複数の新築マンションを手がけてきた鹿士の視点から、その土地選びの哲学を紐解きます。
A-1. 情報は「非公開」から始まる
一般の市場に出る前の土地情報は、いわば投資家にとっての“宝石の原石”です。
新築マンションを企画・販売するデベロッパーや管理会社から、
「この土地を仕入れたが、あなただけに紹介します」といった形で、非公開の打診が届きます。
ただし、すべての案件に乗るわけではありません。
ここで重要になるのが、冷静な“取捨選択の基準”です。
A-2. 鹿士流。土地選定3つの条件
土地を選ぶ際に投資家が見るのは、数字よりもまず環境です。
特に札幌市では、その評価軸は、次の3点に集約されます。
- 地下鉄駅から徒歩10分圏内
- 商業施設・スーパー・コンビニなど、生活利便性の高さ
- 現地で感じる雰囲気の良さ
物件を建てた投資を回収するには、稼働率の高さを維持していくことが必要です。
すなわち「多くの人にとって住みたい物件」であることを、立地から実現していくという視点が欠かせません。
鹿士が大切にしているのは、地図上のデータで読み解ける利便性だけではなく“その土地の雰囲気”。
これは、数字では測れない人生経験に裏打ちされた判断です。
A-3. 地図ではわからない“肌感覚”を確かめる
土地の情報を得ると、まずGoogleマップで位置を確認します。
しかし、最終的な判断は必ず現地に足を運んでから下すことにしています。
奥様とともに現地を訪れ、実際に駅まで歩いて距離を確かめます。
「徒歩6分」と聞けば6分で着くかどうかを自分の足で確認し、
10分を超えるようなら、その時点で検討から外します。
「自分が10分以上歩きたくない場所には、入居者も住みたくない」
この考え方は、シンプルでありながら非常に実践的な視点です。
A-4. “暮らす目線”で見る周辺環境
現地調査の次は、車で周辺を巡りながら生活動線を想像します。
コンビニは近いか、スーパーはあるか、
大型商業施設が車で行ける距離にあるか——
日常の買い物や通勤を思い浮かべながら、生活のしやすさを見極めていきます。
A-5. 最後の判断を委ねる「感性」
最終的な判断を下す際には、鹿士本人の目だけではなく、同行する奥様の意見も必ず聞きます。
「理由はわからないけれど、やめた方がいい気がする」
その一言を信じて見送った土地が、後に夜道が暗かったり治安に難があったりすることが少なくありません。
言語化されない女性の感性。これも、実際に物件を選ぶお客様が、同じように感じるかもしれない。
論理的明晰さと細やかな感性、双方を尊重する姿勢こそ、鹿士が経験を重ねる中で磨いてきた
投資家の決断力と言えるでしょう。


B.事業計画の作成
良い土地を見つけたなら、次にすべきは「事業計画」を練ることです。
新築でマンションを建てるには、銀行融資の承認が不可欠。
そのためには、銀行が“太鼓判を押したくなる”ほど緻密で、説得力のある事業計画を整える必要があります。
この段階で投資家が取り組むのは、「この投資が本当にリターンを生むのか」を、自ら客観的に検証する作業です。
さらに、同時に進めるべき重要な要素が建築計画。
間取りの設計はコストと入居率、双方に直結するため、事業計画と一体となって進められていきます。
B-1. 感性ではなく数字で語る― 事業計画の本質
投資家の視点から事業計画を見るとき、投資の収益性を客観的に確認することはもちろんですが、
その大きな目的は、銀行から融資を引き出すための説得材料を作ることにあります。
銀行が融資を決定する際には、
前項で大事にしていると述べた、「現地の雰囲気」や「感性」などは一切顧みられることはありません。
その分、そこに建つであろうまだ見ぬ物件の未来を
数字で表現していく必要があります。
B-2. 銀行の立場を考える ―事業計画の勘所
事業計画書には、未来の収益構造を示すための主要な数値が並びます。
その中でも銀行が重視するのは、利回りです。
2025年現在の札幌市況では、銀行が融資を認めるボーダーラインは5.0%〜です。
この範囲を下回ると、なかなか融資は降りません。
計画上の入居率は95%で、毎月の売上を求めます。
これは、20戸の物件であれば、常に1戸は空室であるという想定です。
周辺環境を調査の上、適切な家賃を設定します。
満室にして、充分な売上を立てられる(利回りが見込める)見通しを示すことで、
銀行で審査をされる方々から見ても、安心して融資の判断ができるようになります。
ただし、これから述べるようなコスト上昇の逆風の中で、
入居者にとって魅力的な住まいと充分な利回りを確保する計画を立てるのは容易ではありません。
B-3. 変化する時代 ― 建築コスト上昇の構造
建築コストは年を追うごとに上昇しています。
その背景には、物価高による建築資材の高騰、働き方改革による工期の長期化、
省エネ法変更による追加コストの改正など、様々な要因があります。
また、過去の銀行不正による、審査の厳格化によって、
頭金が、かつての2-3倍の金額を要求されるようになりました。
多くの投資家にとっては、新築マンション投資は、
かつてほどの魅力は薄れて、逆風が吹いていると言えます。
ですが、すべてが悪化したわけではありません。
市場が厳しくなったからこそ、淘汰が進み、真に実績を積んだ投資家のもとへ、
より質の高い情報が集まるようになりました。
「正直に言うと、実績がない頃は、先輩投資家にばかり良い話が舞い込むことを羨んだこともあった」と鹿士は言います。
そこで腐ることなく、誠実な取引の積み重ねてきたからこそ、
次の機会を呼び込み、逆風の中で生き残れています。
順次公開いたします。お楽しみに








